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August 24 葛原茂樹先生からのメッセージ:教訓とモットー葛原茂樹先生からのメッセージ:教訓とモットー
現在、葛原先生は日本神経学会理事長の要職につかれているが、非常に気さくな先生であり、学会などでときどきお話する機会がある。三重大学神経内科教授の退官最終講義で、彼の経験から得た教訓とモットーが述べられている。非常に含蓄のあることが述べられているので、引用する。
学生と若い医師・研究者諸君へ
信念を曲げない、権威に屈しない、長いものに巻かれない 頑張り過ぎない、欲張らない 先のことを考えない、今を一生懸命に生きる 若い時は楽をしない 武者修行をし、他人の釜の飯を食い、友人を増やす 機会があれば未知の職場へ 異質の人から学ぶ(まねぶ)=真似ぶ(まねぶ) 与えられた部署で誠実に役割を果たす 年齢と経験、立場・職責に応じた働きをする 頼まれたことは断わらずに引き受ける 患者、同僚、上司から「頼まれる」=「頼りになる」と見込まれたことである
医師としての生き方と目標
患者さんの訴えが一番大事=主訴は一番鋭敏なマーカー 診察を受けてよかったと思って帰っていただくことを心がける 五感を養い、自分の頭で考える 事実と目の前の現象に対して謙虚になる 権威者に盲従せず、他人の言を鵜呑みのにせず、常に自らの頭で判断する 典型事例に精通する→医学上の新発見は「違い」を感知することから生まれる 誤診例、重要例は必ず報告する→論文化は個人の経験を万人の知的財産に変える 臨床の場では常にsomething newに注意を払い、scientific clinicianを目指す 「長」がつく職になったら部下を鼓舞し育成することが大事な職務のひとつである 論文を書きなさい、その努力を怠る者は廃れて行くのみ(Publish or perish!)
最後に学生諸君と若人へ
君たちの可能性は無限大です! 奉仕の精神と高潔な志を持って高く大きく飛躍してください! Bon Voyage!
「誤診例、重要例は必ず報告する→論文化は個人の経験を万人の知的財産に変える」
病気の鑑別がうまくいかない場合は、Pubmed を利用し、keywordをいくつか入れると、過去に発表された論文のタイトルが出てくる。非常に珍しい症例の場合、世界のだれかが論文にして報告していることが多い。世界第1例目の症例はめったにはない。本邦で2例、3例の症例は経験したことがある。そのような症例を学会発表しているが、症例報告として、論文に投稿するまでが長くかかってしまう。日常診療の多忙さ、また、つぎつぎと珍しい症例が出てくるため、英語の文献を読まないといけないとか、また、学会発表に要する時間の10倍ぐらいの労力が論文執筆に必要となるので、論文の執筆がかなり滞っている。
依頼原稿の場合は締め切りがあるため、締め切り2週間前になると、毎晩2時ぐらいまで原稿書きに集中する。最近書いた総説は、神経内科の「傍腫瘍性脳幹脳炎」である。引用文献が30件以内ということで、文献の取捨選択をしなければならなかった。また、最新の文献を引用したために、締め切り1週間後に原稿をメールで送付した。5月に日本神経学会があり、ペン大のDalmau教授の講演を聞いていたら、彼の最新の総説(paraneoplastic syndrome)がLancet Neurologyの4月号に掲載されていることが判明した。その総説では、傍腫瘍症候群の診断について、わかりやすく記載されていた。(1. Dalmau J, Rosenfeld MR. Paraneoplastic syndrome of the CNS. Lancet Neurol 2008; 7: 327. 2. Graus F, Delattre JY, Antoine JC, et al. Recommended diagnostic criteria for paraneoplastic neurological syndromes. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2004; 75: 1135.)
また、American Academy of Neurology.の会員になっているので、毎週電子メールで最新論文のタイトルが送られてくる。その中に、Tanらによる抗VGKC (voltage-gated potassium channel)自己免疫の臨床スペクトラム(Tan KW, Lennon VA, Klein, CJ, et al. Clinical spectrum of voltage-gated potassium channel autoimmunity. Neurology 2008; 70: 1883)の論文に気づいた。早速のこの論文の要約を総説に追加した。
「この抗体は最初、後天的neuromyotoniaで報告され、その後Morvan 症候群、てんかん、辺縁系脳炎、発汗過多や胃腸運動不全の自律神経不全を伴うことが記載された。Tan28) らは、72例を検討し、神経症状は急性~亜急性71%、多相性46%;71%認知障害、58%てんかん、33%自律神経不全、29%ミオクローヌス、26%睡眠異常、25%末梢神経障害、21%錐体外路障害、19%脳幹・脳神経障害であった。14%がCreutzfeldt-Jakob病と誤診された。新生物は33%で確認され、18例が癌(SCLC5例、前立腺癌4例、胸腺癌3例、扁平上皮癌3例(頭部、頸部、皮膚)、乳癌2例など)、3例が血液悪性腫瘍(B-cell lymphoma、慢性リンパ性白血病、mycosis fungoides)、5例が良性腺腫、1例が胸腺腫であった。89%で免疫療法は有効であり、50%では著効した。脳神経・脳幹障害として、複視または眼のかすみ(6例)、構音・嚥下障害(4例)、視力消失(3例)、半側顔面スパスム(1例)、顔面のしびれ(1例)、嗅覚消失(1例)が見られた。」
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August 22 警察・検察は加藤医師の控訴を断念せよ!警察・検察は加藤医師の控訴を断念せよ!
大野病院産婦人科加藤医師に対する第一審での無罪判決は当然の結果であるが、警察・検察は控訴を断念すべきである。日本産婦人科学会は全面的に加藤医師を支援し、彼の行為はまったく過失がなかったことが、第一審で明白になった。これ以上、裁判を続けることは、加藤医師にとって過酷であるし、勝ち目がまったくない裁判を行えば、検察の頭脳がおかしいことを示すものである。また、下記の記事を読むとわかるが、警察庁長官は異例のコメントを述べている。
参考資料: 医療への捜査、慎重に…「帝王切開死」無罪で警察庁長官 福島県立大野病院で2004年に起きた医療事故で業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医に無罪判決が出たことについて、警察庁の吉村博人長官は21日の記者会見で、「医療行為への捜査については判決を踏まえ、慎重かつ適切に対応していく必要がある」と述べた。 警察庁長官が、確定前の判決に踏み込んで言及するのは異例。 吉村長官は「警察として医療の場での事件、事故への対処は簡単ではない部分がある」とし、「警察の捜査活動が(医師に)消極的な影響を与えてはならない」との考えを示した。民事訴訟や行政処分との兼ね合いについても言及し、「刑事だけが突出してはおかしくなる。総合的に判断する必要がある」と述べた。 厚生労働省が設置を検討する「医療安全調査委員会(仮称)」については「患者や遺族が信頼、安心感を保てる制度が必要」とし、関係省庁と連携を強化していく意向を強調した。 (2008年8月21日20時28分 読売新聞)
なお、毎日新聞の福島県の地方版では、現地の意見が書かれていて、参考になる。また、 判決当日に福島市で開催された「福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える」がテーマのシンポジウムが取り上げられていた。他の新聞社の記事にはなかったと思われるので、引用しておく。
来年から裁判員制度が始まる予定であるが、今回の裁判が素人裁判員により行われると、判決が逆転していたかもしれない。遺族側の感情に左右される裁判員が出てくるであろう。 また、わずか3回だけの公判で裁判が終了するとは思えない。また、専門的なことを理解できない裁判員もいるであろう。裁判員制度は廃止すべきであると、国民は声を大にすべきである。裁判所への出頭命令は戦前の赤紙の再現であり、断固拒否されるべきものである。
参考資料: 毎日新聞 ◇裁判の影響で医師減少も、「安全意識高まった」--県病院局 県立病院を運営する県病院局では、茂田士郎・病院事業管理者が会見し、「県内の医師減少や萎縮(いしゅく)医療など裁判の影響もあったが、一方で安全や再発防止に対する意識が高まった面もある」と振り返った。05年3月に公表、癒着胎盤の無理なはく離が死亡原因の一つとした事故調査報告書については「再発防止のため、聞き取り調査で事故の経緯をまとめた。事故直後の第三者の意見によるもので法的根拠はない。判決はさまざまな観点からの審理の結果で、より正しいものだろう」と話した。加藤医師を減給処分、病院長を戒告処分にしたことについて、「判決確定後に検討するが、調査報告書に重大な事実誤認があったことが分かれば(処分を)取り消すことも可能」とした。【関雄輔】
◇「当然の判決だ」 捜査機関へ批判相次ぐ--加藤医師支援シンポ 福島市太田町の福島グリーンパレスでは20日午後、加藤克彦医師(40)を支援する医療関係者やジャーナリストらでつくる実行委主催でシンポジウムが開かれた。会場からは「当然の判決だ」「医療現場を崩壊させる捜査を許してはいけない」など捜査機関への批判が相次いだ。
シンポは「福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える」がテーマ。市民から国会議員まで約160人が参加した。国立病院機構名古屋医療センターの産科医、野村麻実さんらパネリスト7人が意見交換し、野村さんは「逮捕というセンセーショナルな事件になり、産科の崩壊が進んだ。地域医療が失ったものは大きい」と、事件後の県内の産科医減少などを報告した。
超党派の国会議員でつくる「医療現場の危機打開と再建をめざす議員連盟」の会長代理、仙谷由人衆院議員(民主)は「警察、検察は相当無理しないと公判維持できないと直感していた。素人の思いつきで逮捕、拘置してはならないと法務省や検察庁に申し入れたい」と話し、連盟メンバーの世耕弘成参院議員(自民)は「判決を高く評価したい。無過失補償制度の確立と医療安全調査委員会を早急に立ち上げるべきだ」と訴えた。【坂本智尚】
◇調査委の開始望む--小山菊雄・県医師会会長 患者と遺族に心から哀悼をささげたい。加藤医師の行為は日本の医療水準に対し妥当な判断で、可能な限りの医療を尽くしたと思う。今回の判決で、安心して医療を続けられる状態になり、医師会としても安堵(あんど)している。事件後、産科の閉鎖が続き、裁判が影響を与えたのは確か。医師会は会員の正当な権利を守るのが義務だが、患者や家族の思いもある。国の医療安全調査委員会の早期開始を望む。
◇安全確保に努める--佐藤雄平知事 これまでさまざまな観点から行われた審理の結果と考えている。県民の誰もが安全に安心して健やかに暮らせる社会づくりのため、地域医療を確保することは極めて重要であると認識している。今後も医療体制の整備と医療の安全確保に努めたい。
◇産科医、出生1000人当たり8.1人 全国平均下回る、人口10万人で6.6人 事件を背景に産婦人科医が全国的に減少する中、県内でも02年以降産科医は減り続け、出生1000人当たりの産科医の数は8・1人。人口10万人当たりでは6・6人と全国平均7・5人を下回り、全国37位にとどまっている。
地域別では、県立医大のある県北地区以外は産科医の不足が顕著で、特に南会津地方は出生1000人当たり4・4人と深刻だ。今年2月末には南会津病院が産科医の退職で分娩(ぶんべん)をやめ、会津若松市の民間病院から週2日医師の派遣を受けて妊婦検診のみを継続している。
会津若松市の竹田綜合病院では、会津全域から妊婦が受診に訪れ、半日かけて来院する妊婦もいるという。同病院の07年度の分娩数は666件で、05年度比で121件増加した。同病院は「分娩を休止する病院がこれ以上増えると大変だ」と話した。【西嶋正法】
◇「手術が怖い」の声も 「無罪判決に安堵」--医大生 産科医が手術中の判断を巡って逮捕、起訴された今回の事件は、医師を志す医学生にも大きな衝撃を与えていた。皮膚科医を目指しているという県立医大6年の国分恭子さん(25)は「無罪と聞いてほっとした。医療行為は100%成功するとは限らない。処方せんを間違うなど明らかな医療ミスならともかく、すべきことをして罪に問われるなら医師は怖くて手術できなくなる。自分も手術するようになると思うと正直、怖い」と話した。
また、同大2年の石井惇也さん(19)は「医療技術が進歩した分、難しい手術が増えていると思う」とした上で、「いずれは外科系に進み、難しいケースにも対応できる医者になりたいが、医者は神ではない。過失の有無が定かでないのに捜査機関が介入すれば、萎縮して難手術を避ける医者が増えると思う」と話していた。【西嶋正法】
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August 20 産婦人科医師への無罪判決は当然だ!警察・検察の横暴と遺族の誤解産婦人科医師への無罪判決は当然だ!警察・検察の横暴と遺族の誤解
予想していた通りの無罪判決であった。通常の医療行為で患者が死亡したのに、その主治医が逮捕されるという警察・検察の信じられない暴挙であった。証拠隠滅の恐れもなく、逃亡の恐れもない加藤医師を業務上過失致死の容疑で逮捕した。日本医学会、日本産婦人科学会をはじめとする医療関係者のほぼすべてが加藤医師を支持し、警察・検察の行為に対して抗議した。
彼の逮捕によって、産婦人科を志望する医学生は激減し、産婦人科をやめた医師も増え、医療崩壊の進行を早めてしまった。遺族が民事に訴えるのは権利として問題はないが、刑事事件として取り上げるのは非常識で責められるべきである。加藤医師が医師としての活動ができなくなり、生活も破壊してしまうような暴挙をおこなってきた警察、検察の責任を問いたい。
検察側の鑑定人の新潟大学産婦人科教授の鑑定結果に対して、裁判官は鮮やかに手厳しく批判をしていて、気持ちがよかった。
「証言した医師のうち、C医師のみが検察官の主張と同趣旨の見解を述べている。だが、同医師は腫瘍(しゅよう)が専門で癒着胎盤の治療経験に乏しいこと、鑑定や証言は自分の直接の臨床経験に基づくものではなく、主として医学書などの文献に頼ったものであることからすれば、鑑定結果と証言内容を癒着胎盤に関する標準的な医療措置と理解することは相当でない。
他方、D医師、E医師の産科の臨床経験の豊富さ、専門知識の確かさは、その経歴のみならず、証言内容からもくみとることができ、少なくとも癒着胎盤に関する標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際をそのまま表現していると認められる。
そうすると、本件ではD、E両医師の証言などから「剥離を開始した後は、出血をしていても胎盤剥離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血操作を行い、それでもコントロールできない大量出血をする場合には子宮を摘出する」ということが、臨床上の標準的な医療措置と理解するのが相当だ。 」
参考意見:他のブログから引用しました。 http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/ (ある産婦人科医のひとりごと)
1.とりあえず無罪で良かったです。しかし、検察が控訴する可能性もあるのでまだ安心できません。今回の事件の影響は大きく、加藤先生の産婦人科医としての将来や人生を破壊し、また、全国の産科医療をも破壊しました。もし、無罪が確定したら、この件に関わった、警察や検察の関係者は処分されるべきだと思いますが皆さんどう思われます?
投稿 ある大阪の産婦人科医 | 2008/08/20 16:20
2.無罪判決の後でも、ある新聞は遺族のコメントを強く主張している。なぜ、分娩というものが、突然異常になることを妊婦やその家族は認識すべき、などのコメントをしないのだろうか。現在でも、年に数十人は母体死亡しているのである。しかもその約半数がこの件と同様に出血死である。逆にこの件で、医師が十分に過失なく治療しても救えない母体死亡があることを多くの妊婦やその家族が認識することを希望します。
投稿 ある勤務産科医 | 2008/08/20 17:20
3.とにかく無罪でほっとしました。 途中からでしたが、シンポジウムに参加させて頂きました。会場は本当に熱気に包まれていました。 今回の件で一番問題だったのは警察・検察です。本来逮捕する理由(逃亡も証拠隠滅ありえないのに)も無いのに逮捕し、警察署は表彰までされています。違法行為と言う弁護士さんもいます。一方刑事事件になって遺族も被害者なったと思われます。それなのに遺族と医師側の対立ばかりを煽るマスコミには本当にうんざりします。
投稿 産科開業医 | 2008/08/20 19:43
4.自分は三十余年前、大野病院で生まれた地元民です。 最近結婚をして、これから子供を儲けようというとき、今の大野病院には産婦人科が無く、大変不便を感じています。
今日、無罪判決の報道を知った瞬間、喜びのあまり声をはりあげてしまいました。
加藤先生はとてもいい先生だったと、たくさんの人から伺ってます。
どうか大野病院に産婦人科が復活し、かなうならば、加藤先生にはぜひ大野病院にまた戻ってきてほしいです。
投稿 地元民から | 2008/08/20 21:20
参考資料:朝日新聞から
福島県立大野病院事件の福島地裁判決理由要旨(1/2ページ)2008年8月20日14時
福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性患者が死亡した事件で、福島地裁が言い渡した無罪判決の理由の要旨は次の通り。
【業務上過失致死】
●死因と行為との因果関係など
鑑定などによると、患者の死因は失血死で、被告の胎盤剥離(はくり)行為と死亡の間には因果関係が認められる。癒着胎盤を無理に剥(は)がすことが、大量出血を引き起こし、母胎死亡の原因となり得ることは、被告が所持していたものを含めた医学書に記載されており、剥離を継続すれば患者の生命に危機が及ぶおそれがあったことを予見する可能性はあった。胎盤剥離を中止して子宮摘出手術などに移行した場合に予想される出血量は、胎盤剥離を継続した場合と比較すれば相当少ないということは可能だから、結果回避可能性があったと理解するのが相当だ。
●医学的準則と胎盤剥離中止義務について
本件では、癒着胎盤の剥離を中止し、子宮摘出手術などに移行した具体的な臨床症例は検察官、被告側のいずれからも提示されず、法廷で証言した各医師も言及していない。
証言した医師のうち、C医師のみが検察官の主張と同趣旨の見解を述べている。だが、同医師は腫瘍(しゅよう)が専門で癒着胎盤の治療経験に乏しいこと、鑑定や証言は自分の直接の臨床経験に基づくものではなく、主として医学書などの文献に頼ったものであることからすれば、鑑定結果と証言内容を癒着胎盤に関する標準的な医療措置と理解することは相当でない。
他方、D医師、E医師の産科の臨床経験の豊富さ、専門知識の確かさは、その経歴のみならず、証言内容からもくみとることができ、少なくとも癒着胎盤に関する標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際をそのまま表現していると認められる。
そうすると、本件ではD、E両医師の証言などから「剥離を開始した後は、出血をしていても胎盤剥離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血操作を行い、それでもコントロールできない大量出血をする場合には子宮を摘出する」ということが、臨床上の標準的な医療措置と理解するのが相当だ。
検察官は癒着胎盤と認識した以上、直ちに胎盤剥離を中止して子宮摘出手術などに移行することが医学的準則であり、被告には剥離を中止する義務があったと主張する。これは医学書の一部の見解に依拠したと評価することができるが、採用できない。
医師に医療措置上の行為義務を負わせ、その義務に反した者には刑罰を科する基準となり得る医学的準則は、臨床に携わる医師がその場面に直面した場合、ほとんどの者がその基準に従った医療措置を講じているといえる程度の一般性、通有性がなければならない。なぜなら、このように理解しなければ、医療措置と一部の医学書に記載されている内容に齟齬(そご)があるような場合に、医師は容易、迅速に治療法の選択ができなくなり、医療現場に混乱をもたらすことになり、刑罰が科される基準が不明確となるからだ。
この点について、検察官は一部の医学書やC医師の鑑定に依拠した準則を主張しているが、これが医師らに広く認識され、その準則に則した臨床例が多く存在するといった点に関する立証はされていない。
また、医療行為が患者の生命や身体に対する危険性があることは自明だし、そもそも医療行為の結果を正確に予測することは困難だ。医療行為を中止する義務があるとするためには、検察官が、当該行為が危険があるということだけでなく、当該行為を中止しない場合の危険性を具体的に明らかにしたうえで、より適切な方法が他にあることを立証しなければならず、このような立証を具体的に行うためには少なくとも相当数の根拠となる臨床症例の提示が必要不可欠だといえる。
しかし、検察官は主張を根拠づける臨床症例を何ら提示していない。被告が胎盤剥離を中止しなかった場合の具体的な危険性が証明されているとはいえない。
本件では、検察官が主張するような内容が医学的準則だったと認めることはできないし、具体的な危険性などを根拠に、胎盤剥離を中止すべき義務があったと認めることもできず、被告が従うべき注意義務の証明がない。
【医師法違反】
本件患者の死亡という結果は、癒着胎盤という疾病を原因とする、過失なき診療行為をもってしても避けられなかった結果といわざるを得ないから、医師法にいう異状がある場合に該当するということはできない。その余について検討するまでもなく、医師法違反の罪は成立しない。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/171427/
大野病院事件「妥当な判決」 日産婦学会が声明 13:17更新 福島地裁の無罪判決を受け、日本産科婦人科学会の吉村泰典理事長は20日昼、記者会見し「実地医療の困難さとリスクに理解を示した妥当な判決」と判決を評価。「控訴しないことを強く要請する」と、検察側に控訴断念を求めた。
争点となった癒着胎盤について吉村理事長は「極めてまれな疾患であり、診断も難しく、最善の治療についての学術的議論は現在も学会で続けられている」とし、加藤克彦被告に対しては「専門医としていった医療の水準は高く、まったく医療過誤と言うべきものではない」と、同学会の声明を読み上げた。
同学会医療問題ワーキンググループ委員長を務める岡井崇理事は「今回のケースは逮捕する理由がなかった。たとえ患者への説明が不十分だったとしても、医師に刑事罰を与えることにはつながらない。医療を知らない警察が最初に捜査を行ったことが問題。まず、専門家が第三者機関を設けて調査すべきだと事件を通じて率直に感じた」と訴えた。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/171489/
日本生殖医学会も歓迎 大野病院事件無罪判決
大野病院事件の無罪判決について、全国約4900人の産婦人科や泌尿器科の医師らで構成する「日本生殖医学会」(岡村均理事長、東京)は20日、「極めて適切な判断と考え、歓迎する」との声明文を公表した。
声明文では「医療提供者には常にベストを尽くして治療する義務があ る」とした上で「全力を尽くしても、治療結果は個別で異なり、最終的に最悪の結果になる場合がある。これは社会の常識で、法律上も正しいと判断された」などとしている。
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August 18 卵巣奇形腫に合併した非ヘルペス性辺縁系脳炎卵巣奇形腫に合併した非ヘルペス性辺縁系脳炎
若年女性に好発する非ヘルペス性辺縁系脳炎は神経内科領域で以前から注目されていたが、2007年にペンシルバニア大学のDalmau教授らにより、抗NMDA受容体抗体が病態に関与し、卵巣奇形腫を合併することが報告された。
http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?artid=1936221 (Ann Neurol 2007) http://www.hosp.go.jp/~szec2/06/06-1-2-15.pdf (急性辺縁系脳炎等の自己免疫介在性脳炎・脳症」 の診断スキーム) 辺縁系脳炎の臨床症状・所見: 1. 精神症状等(行動異常、思考滅裂、興奮状態、幻聴、精神運動興奮状態、 2. 統合失調様症状、記憶障害、せん妄、性欲亢進など) けいれん発作、けいれん重積、口周囲異常運動 3. 自律神経症状(呼吸・循環動態不全、持続覚醒)
当院では、11年前と去年に同様症例を経験した。第13回日本神経感染症学会総会に演題を出したところ、ワークショップに採択された。他の4演題が大学からの報告であり、市中病院からの発表は当院からだけである。
なお、以前に大学勤務時代に、コクサッキーウイルスB4による脳炎の1例を臨床神経学に報告したことがあったが、もしかしたら、卵巣奇形腫を合併していたかもしれない。 臨床神経学は学会誌であり、PubMedに、Abstractが記載されている。
Rinsho Shinkeigaku. 1998 Jan; 38 (1):60-2. [Coxsackie virus B4 encephalitis in a young female who developed mental symptoms, and consciousness disturbance, and completely recovered][Article in Japanese]
An 18-year-old female had common cold and insomnia in early March 1987. Later, abnormal speech and behavior, emotional incontinence, anorexia and consciousness disturbance appeared. On March 19, she was admitted to our hospital in semi-comatose state. Myoclonus-like movement on hands was observed, and epileptic attacks with tonic and clonic convulsions occasionally occurred. There were no neurological findings that suspected cerebral focal lesions. The respiration was assisted through tracheal intubation. Laboratory examinations showed inflammatory reactions (CRP+2, WBC 10,600) and transient high levels serum CK (6,215 IU). As she had bradycardia (30-40/min) with complete AV block on ECG, the pacemaker was implanted. The complication of myocarditis was suspected. EEG showed bilateral slow waves (3-6Hz), dominantly in frontal areas. Brain CT and CSF examinations were normal. After the combined administration of ara-A, dexamethasone and anti-convulsant, the consciousness level was recovered within a month. The serum antibody against coxsackie virus B4 alone was significantly increased. We concluded that coxsackie virus B4 caused acute encephalitis with mental symptoms and myocarditis with AV block. Recently, cytomegalovirus was reported to be the causative virus in a young female with non-HSV encephalitis who showed mental symptoms with good prognosis, but coxsackie virus B4 should also be considered as one of the causative viruses.
10月11日(土) 15:00〜16:30 司会: 鈴木 則宏(慶應義塾大学 神経内科)亀井 聡 (日本大学 神経内科) 若年女性に好発する脳炎 演 題 名 W1 若年女性に好発する急性非ヘルペス性脳炎(acute juvenile female non-herpetic encephalitis:AJFNHE)-全国調査の報告- 日本大学(神経内科)亀井 聡 W2 当科における抗NMDAレセプター抗体関連脳炎3症例の検討 自治医科大学(神経内科)島崎 晴雄 W3 卵巣奇形腫に合併した非ヘルペス性辺縁系脳炎の2例 (私が発表する) W4 若年女性に好発する急性非ヘルペス性脳炎が疑われる1例 川崎医科大学(神経内科)久徳 弓子 W5 NMDAR関連脳炎様精神症状、不随意運動を伴ったBickerstaff型脳幹脳炎の若年女 性の一例 順天堂大学(脳神経内科)河野 彩子
卵巣奇形腫に伴う脳炎症例は藤田保健衛生大学の野倉先生や山本先生により、世界で初めて、1997年に報告された。 Nokura K, Yamamoto H, Okawara Y, Koga H, Osawa H, Sakai K. Reversible limbic encephalitis caused by ovarian teratoma. Acta Neurol Scand 1997; 95:367–373.
A 19-year-old woman developed memory loss followed by psychosis, coma, convulsion, and central hypoventilation requiring mechanical ventilation. MRI of the brain showed minimal changes, and SPECT imaging revealed a small region of increased uptake in the cortex. Intravenous acyclovir and high-dose corticosteroids were administered without any effect. An extensive work-up revealed an elevated serum alpha-fetoprotein (AFP) concentration and the presence of an ovarian tumor. Following resection of the tumor, an immature teratoma by pathology, the patient had significant recovery of her cognitive function with some psychotic sequela. Serum anti-neuronal antibody (anti-Hu) was negative both by immunohistochemistry and by Western blot analysis. A rare combination of paraneoplastic limbic encephalitis and brainstem encephalitis was the suspected diagnosis. Because the tumor contained a neuronal component, we propose an immunologic cross-reaction as the pathomechanism, but the lack of a specific antibody may suggest cell-mediated rather than globulin-mediated immunity.
その患者のことを紹介した記事がある新聞に掲載されていたので、一部引用する。山本紘子教授は、「1リットルの涙」を書いた患者の主治医であった先生であり、日本神経学会の初めての女性理事である。
参考記事:(一部伏字にした) 卵巣奇形腫、辺縁系脳炎を克服、脳障害後遺症からあり得ないはずの復活(愛知県・--さん 女性31---) (2006/6/16) ◇卵巣奇形腫、辺縁系脳炎で死に直面 1994年(平成6年)12月、19歳の時、--さんは突然のめまいに襲われた。翌日から、高熱、頭痛、腹痛、おう吐に苦しんだ。突然、泣いたり笑ったりと、精神も不安定になった。そうした状態が1週間続いた。--さんは、そのころから約2年間、記憶がないと言う。 一番上の姉が、当時の状況を日記に綴っている。それによると、--さんは昏睡状態で藤田保健衛生大学病院に運ばれた。10日後に意識が回復した。超音波検査で、卵巣にこぶし大の腫瘍が発見された。病名は「卵巣奇形腫」。その腫瘍に対する抗体が脳にも働き、「辺縁系脳炎」を引き起こしていた。 すぐ手術をして腫瘍を取り除かないと、命の危険に及ぶ。--さんはこの時、自力での呼吸が困難になり、気管を切開して人工呼吸器を付けられていた。けいれんも頻繁に起きていた。手術に耐えられる体力があるかどうかわからない。 医師は、「手術をしなければ治りませんが、かなりの危険が伴います」と説明し、決断を家族にゆだねた。父は、2年前に胆管がんで亡くなっていた。気丈な母であったが、弱気になった。この子が死んだら私もいっしょに死ぬ……。 (中略) 高熱とけいれんが続く。医師は慎重に--さんの容体を見極め、手術に踏み切る。家族の強い祈りにも包まれ、右卵巣の摘出手術が成功した。 ◇脳炎後遺症との闘いからあり得ないはずの復活へ
手術後、体は順調に回復した。しかし、声をかけても反応がない。言葉もなかなか出てこない。脳炎の後遺症だった。知的障害。 --さんは、精神病院に移り、入退院をくり返した。外出しても、いつ、てんかんを起こして倒れるかわからない。エスカレーターで発作を起こし、転がり落ちたこともあった。 1996年(平成8年)5月、脳炎発症から1年半後のこと、医師が母に告げた。「これ以上、入院を続けても、7歳児以上の脳には戻りません」。 しかし、母は動揺しなかった。決意は固い。必ず治してみせる! 母子二人三脚の真剣な闘いが始まった。 退院後、文字を読む練習を開始した。ふるえる右手を支えてもらい、字を書く訓練も積んだ。(中略) 1997年(平成9年)2月、--さんは近所の総菜店で働き始めた。だが、一つ教えられても、すぐに忘れてしまう。毎日同じことで厳しく注意された。涙があふれる。家に帰っては、やめたいと漏らした。 (中略) --さんは努力に努力を重ねた。注意されたことをすべてノートに書きこみ、けなされようが、バカにされようが、前向きに仕事に挑戦していった。 (中略) 1999年(平成11年)、診察を終えた医師が、--さんに告げた。「何も問題ありあません。もう来なくても大丈夫です」 発症から4年あまり。治らないと言われていた脳が、劇的な回復を遂げたのだった。 (中略) ◇--さんの担当医の声 藤田保健衛生大学坂文種報徳會ばんぶんたねほうとくかい 病院 神経内科教授 山本病院長 --さんの病気は、傍腫瘍性症候群による「辺縁系脳炎」で、そのころ注目され始めた疾患でした。 当時勤務していた藤田保健衛生大学病院の神経内科で診察した時は、意識はもうろうとし、発語もほとんどなく、目もうつろな状態でした。初めは精神科で、うつ病や統合失調症として治療されていましたが、どこかに腫瘍があるのではないかとの疑いをもち、いろいろ検査した結果、卵巣に奇形腫が発見されました。 この間、昏睡で人工呼吸器が必要な状態が続いていましたが、産婦人科医を説得して卵巣摘出手術を断行しました。その結果、術後2日目に自発呼吸が見られ、5日目には開眼、11日目には話しかけにうなずき、笑うようになりました。 しばらくは、後遺症による筋力低下、感情障害、記憶障害も残りましたが、見事に回復され、結婚して元気なお子さんに恵まれた--さんの姿を、大変うれしく思います。私たち医療者も十分勉強させていただき、本当に良かったと実感しています。
PS: 今年の日本神経学会総会で、Dalmau教授の講演があったので、抗NMDA受容体脳炎について、彼の最新のデータを近日中に紹介する。 http://blog.with2.net/link.php/36571 (ブログランキングに登録していますのでよろしく)
August 17 外反母趾の激痛:土佐礼子、出場すべきではなかったのではないか!?外反母趾の激痛:土佐礼子、出場すべきではなかったのではないか!?
野口みずき選手も、土佐礼子選手も体の病気を持っていたため、野口選手は出場の取り消し、土佐選手は途中棄権してしまった。選手の健康管理はどうなっているのか?腹立たしい限りである。日本陸連は補欠選手を登録、出場させるべきであった。個々の選手の健康状態のチェックは当事者で行われているのであろうが、プロのスポーツドクターが関与しているのであろうか?マラソンは長距離なので、少しでも体調が悪いと、いい結果は残せない。日本陸連が責任を持って、オリンピックの始まる1週間前に健康チェックをすべきではないのか? 名古屋女子マラソンが初マラソンで優勝した山口選手は13位であり、入賞を期待していたが、まったくよくなかった。38歳のルーマニアの選手が優勝したが、高橋尚子選手が出場していたら、きっとメダルをとれたのではないかと想像してしまった。Qちゃんのライバルである野口選手、土佐選手が脱落してしまった。何たる皮肉であることか!
http://tamamed.web.infoseek.co.jp/dr-m/j_hv.html 外反母趾 http://blog.with2.net/link.php/36571 (ブログランキングに登録していますのでよろしく) August 14 ワイヤーアクション:北京オリンピック開会式、チャン・イーモウ監督、武侠映画ワイヤーアクション:北京オリンピック開会式、チャン・イーモウ監督、武侠映画
北京オリンピックの開会式は素晴らしかった。幻想的なシーンが多く、ワイヤーアクションを使った空中ショーが色鮮やかに冴えわたり、芸術的であった。数年前から中国の武侠映画や金庸の武侠小説にはまっている僕にとっては、もしかして、チャン・イーモウ監督 は、武侠映画を作っているかもしれないと思い、インターネットで検索してみた。
なんと、『HERO』『LOVERS』の監督だったのだ。日本の時代劇とちがって、空を飛ぶシーンがあり、空中戦が非常に美しく撮影されている。これらの映画がきっかけになって、 中国の武侠映画や金庸の武侠小説にのめりこんでしまった。
チャンネルNECOでは、「碧血剣」が放映されている。個性ある女性たちが剣を戦わせるのも面白い。金蛇郎君の娘である夏青青、五毒教教主の何鉄手、崇禎皇帝の娘である阿九、金龍幇の総帥焦公礼の娘である焦宛児など、小説を読んでみてから、映画を見ても面白かった。また、金庸の最新の文庫本(徳間文庫)は「飛狐外伝」である。「雪山飛狐」 (7月発刊)の主人公である湖斐の物語である。中国のチャンバラは日本のと違って、アクションがすごい。一度ご鑑賞ください。
参考資料: ワイヤーアクションとは、俳優やスタントマンが2~4本程度のワイヤーロープによって吊られた状態で演技をする、映画や舞台ドラマの特殊撮影の一種。
俳優やスタントマンの身体にハーネスを装着し、カラビナなどでワイヤーロープを取り付ける。そのロープをリフターまたはトラベラーと呼ばれるスタッフが人力で引くことで、空中に飛び(フライング)、回転する等といったアクション・シーンの撮影が可能になる。また、攻撃を受けた者が後方へ勢い良く飛ぶ、超人的な跳躍をするなどのアクションは、ワイヤーの他にショック・ロープと言う、主にバンジージャンプに使われるロープが併用される。
元々は、香港映画で武侠小説の世界における軽功などを表現するために盛んに使われ、発展してきた技術だったが、1999年にハリウッド映画『マトリックス』がこの技術を用いて成功したことによって注目を集め、世界各国で盛んに使われるようになった。画面にワイヤーが見えないのは、ワイヤー消しと呼ばれるデジタル合成作業によって消されているためである。 [編集] ワイヤーアクションの代表作品 『グリーン・デスティニー(原題:臥虎蔵龍)』(2000年・中国/アメリカ合作) 『チャーリーズ・エンジェル』(2000年・アメリカ) 『マトリックス』(1999年・アメリカ) 『ピーターパン』(ミュージカル) 『マーメイドラグーンシアター』(東京ディズニーシー) アテネオリンピック開会式 北京オリンピック開会式 (『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用)
張 芸謀(チャン・イーモウ)は中国の映画監督である。また映画主演の経験もある。( 近年はチェン・カイコー同様にワイヤーアクションを多用した武侠映画で商業的にも成功を収めている。『HERO』での特殊撮影や特殊効果の多用、『LOVERS』では、アジアの巨匠胡金銓の『侠女』(1971年/日本未公開)同様の竹林でのアクション場面を特殊撮影で行っているが、本来はチェン・カイコーと同様に芸術性とドラマ性を兼ね合わせた作品を得意とする。 http://www.necoweb.com/neco/sp/hekiketsu (碧血剣) http://blog.with2.net/link.php/36571 (ブログランキングに登録していますのでよろしく)
August 12 野口みずき、かわいそう:スポーツ選手の体調管理野口みずき、かわいそう:スポーツ選手の体調管理
金メダルが確実であると思われていた野口みずき選手が下肢の肉離れのために、マラソン出場を欠場することになった。練習しすぎだと思われるが、コーチの責任は大きいと思われる。そんなに過酷に練習しなくても、よかったのではないか!スポーツドクターのアドバイスを受けていたと思われるが、何でこんな結果になったのか、腹立たしい反面、野口選手の無念さには同情を禁じ得ない。彼女は伊勢市出身だが、ぼくは3年間、伊勢高校に下宿して通学していた。ぼくは高橋尚子のファンで、野口選手のファンではないが、今回のオリンピックに野口選手の金メダルを期待していた。
宮里藍選手も1年前に膝を痛めてから、ゴルフの成績がどん底まで下がってしまったが、最近ようやく藍ちゃんの活躍が見られるようになり、喜ばしい。そのときにも、専門医への早めのコンサルテーションの必要性を書いた。痛みを我慢して、試合を続けるのは良くないとか、適格なアドバイスができるスポーツドクターが必要である。
ところで、女子ゴルフのウィー選手であるが、先日、男子ゴルフに出場して予選落ちした。 彼女は去年、何度か男子ゴルフに出たが、そのときに手首を痛めたことがあった。女性が男性とスポーツを競うのは間違っているし、彼女にとって、何もメリットはない。調子をこわすだけであることがわからないのであろうか?良きアドバイスをする専門家はいないのであろうか?彼女に対しては不快感を持っている。 断念せざるを得ない
資料: 野口みずきの話 この4年間やってきた事はすべて北京で走るためだっただけに、走りたい、走ろうという思いは消えることはありません。しかし、現状を認識すれば出場を断念せざるを得ません。ご支援をいただいている多くの皆様に多大なご迷惑をお掛けする事となり、誠に申し訳ありません。心より厚くお礼を申し上げるとともに、おわびさせていただきます。わたしの欠場で、土佐(礼子)さん、中村(友梨香)さんにもさらなる期待が寄せられ、重荷になる事を心配していますが、ご健闘を心よりお祈りします。( http://blog.with2.net/link.php/36571 (ブログランキングに登録していますのでよろしく)
August 11 振り込め詐欺、そして我が家の空き巣の犯人が逮捕された振り込め詐欺、そして我が家の空き巣の犯人が逮捕された
先日、典型的な振り込め詐欺のはがきが届いていた。最終通告;債務不履行で、本日中に連絡してこないと、裁判になりますというような内容だった。インターネットで調べたら、同じような文面のものが紹介されていた。高齢者はだまされやすいので、要注意である。
去年、郵便受けに、「あなたの家に空き巣に入った容疑者が逮捕されました。容疑者を連れてきましたが、不在でしたので、下記のところまでご連絡ください。東京八王子警察署――」 5-6年前に夏休みに海外旅行をし、帰宅したら、空き巣に入られた。その年の12月末にも空き巣に入られた。もしかして、新手の振り込め詐欺ではないかと思い、地元の警察署に届けた。そうしたら、本物の警察官であることが判明した。資料は地元警察署があるので、当方としては、関与したくない旨を頼んだ。直接、犯人と顔を合わせなくてよかったと思っている。空き巣で数年間ぐらいの懲役で出所するのであろうが、どこかで出会う可能性があり、気持ちが悪い。 ところで裁判員制度で選ばれる裁判員は被告とその家族に顔を覚えられてしまうであろう。犯人の出所後にばったり路上で出会う可能性があり、恨まれて、刺される可能性だってあると思う。国民はもっと、大きな声で裁判員制度にノーと言うべきである。
http://miyajisyoukai.jp/furikomesagi.html (,振り込め詐欺に注意) http://homepage3.nifty.com/fireblue/p24.html (対決!振り込め詐欺) http://homepage3.nifty.com/fireblue/p40.html (いい加減にしろ!振り込め詐欺) http://blog.with2.net/link.php/36571 (ブログランキングに登録していますのでよろしく)
August 09 ラザロ徴候で抱きしめてラザロ徴候で抱きしめて
暑い夏が続いていて、夏休みをとりたいと思うこのごろである。
ところで、脳死患者に見られる脊髄反射であるラザロ徴候を題材にした、「ラザロ徴候で抱きしめて」という歌が、Youtubeに出品されていた。ぼくのブログのアクセス解析の部分からリンクを追って見つけた次第である。ラザロ徴候を示す脳死患者はまるで生きているような動きを見せるので、事前の知識がないと、患者の家族はこわがるかもしれない。担当医は脳死臓器移植の件を説明するときには、必ず説明するであろうが。患者家族はその場面を見ると、ショックを受けるかもしれないので、僕が担当医なら、家族には見せたくない。
ラザロ徴候(Lazarus sign) 1984年に米国の脳神経学者A・H・ロッパーによって5例が報告された。脳死患者が医師の目の前で、突如両手を持ち上げ、胸の前に合わせて祈るような動作をする。動作後は自分で手を元の位置に戻す。同様の現象はその後各国で多数確認され、日本でも医学誌に症例報告がある。動作のビデオも収録されている。ロッパーは「脊髄自動反射」と理解するが、疑問視する声もある。脳死患者を家族に見せないようにすべきとロッパーは書いている。(Wikipediaより引用)
www.youtube.com/watch?v=F61UOGA9OWU&feature=related 「ラザロ徴候で抱きしめて」 www.scienceagogo.com/news/20000011225628data_trunc_sys.shtml (Lazarus sign) www.lifestudies.org/jp/masui.htm (森岡正博氏とのやりとり) http://blog.with2.net/link.php/36571 (ブログランキングに登録していますのでよろしく)
PS;皆様はすでにご存じと思うが、小倉アナのかつらが外れてしまった動画を医局で皆が見ていて、大笑いしたことがあった。この動画を見た人の数の多いこと、現在834万回見られている。何度も見ている人も多いのではないかと思う。
http://jp.youtube.com/watch?v=GZPY8EpcDpo
裁判員制度を廃止せよ!裁判員制度を廃止せよ!
裁判員制度が国会に上程される前から、批判的なコメントを書いていたが、最近ようやくマスコミも政治家も弁護士もこの制度に問題があることを認識し始めた。遅すぎる!一般市民の目線で考えたことがない連中が多すぎる。
社民党が裁判員制度の実施を遅らせたほうが良いと主張しているが、廃止を提案しているわけではない。共産党も民主党も考え方を少し変えてきた。現代の新しい徴兵制度となりうるこの裁判員制度の違憲性、非人道性に気づいていないお上たちの頭脳にはあきれかえる。
たとえば、下記の世論調査の最高裁の解釈(ただ、「あまり参加したくないが義務なら参加せざるを得ない」とした44.8%を加えると約6割になり、最高裁は「一定の水準には達している」と評価する)にはあきれてしまい、憤りを感じてしまった。義務なら参加せざるを得ないという質問項目を設けたことに、意図的なものを感じるのは当然である。
また、讀賣新聞だけが報道しているが、愛知県弁護士会がアンケート調査をしたが、60%以上が裁判員制度に反対し、その6割が廃止すべきであると回答している。最近の讀賣新聞は、裁判員制度に対する批判的な動きを報道する姿勢に変化してきている。
参考資料; 1) www.asahi.com/national/update/0401/TKY200804010405.html
朝日新聞 裁判員制度「参加に意欲」15.5% 最高裁調査2008年4月2日5時55分
スタートまで1年余に迫った裁判員制度について、「参加したい」「参加してもよい」と意欲を示した市民の割合は15.5%にとどまることが、最高裁の調査で明らかになった。ただ、「あまり参加したくないが義務なら参加せざるを得ない」とした44.8%を加えると約6割になり、最高裁は「一定の水準には達している」と評価する。
調査は今年1月から2月にかけて、全国に50ある地裁の管内ごとに計1万500人に面接した。その結果、94.5%が「もうすぐ始まる」など裁判員制度について何らかの知識を持っていた。一方で、「義務でも参加したくない」も37.6%にのぼった。
地域別では、千葉県を筆頭とする首都圏や福岡県などの都市部で参加意欲が高く、北海道や東北地方で意欲が低い傾向が見られた。地裁までの交通の便や、冬の寒さが意欲に影響しているとみられる。
年代別でみると、20代は74.1%が参加の意向を示し、年代が上がるにつれて意欲が下がった。70歳以上は辞退を希望すれば認められるため、39.2%にとどまった。
参加に対する心配や支障を尋ねると、「被告の運命が決まるため責任を重く感じる」(75.5%)が最も多く、「素人に裁判ができるのか不安」(64.4%)、「裁判官と対等な立場で意見を発表できる自信がない」(55.9%)、「身の安全が脅かされるのではと不安」(54.6%)が続いた。
06年12月に内閣府が実施した世論調査では、今回と調査方法は異なるものの、傾向はほぼ同じ。最高裁は今後も広報を続けるが「負担を強いる制度で、これ以上に数字を伸ばすのは難しいのではないか」との見方もある。(岩田清隆)
2) 社民 裁判員制度再検討すべき www.nhk.or.jp/news/k10013390661000.html
NHK 8月7日 14時27分 社民党は常任幹事会で、来年5月に導入される裁判員制度について、国民の理解が十分進んでいないとして、導入時期の延期も含めて再検討すべきだとする見解をまとめ、各党に議論を呼びかけていくことを決めました。
それによりますと、一般の人が重大な刑事事件の裁判に参加する裁判員制度について、ことし行われた国の調査でもおよそ80%が参加に消極的と答えるなど国民の理解が進んでいないうえ、裁判員となる国民の負担を和らげるための休業補償や育児・介護の支援態勢が十分でないとしています。また、裁判員に配慮して短い期間で審議が行われるため、被告人にとって不利な裁判になるおそれも強いと指摘しています。そして、「国民の理解や態勢が十分整わないまま制度を拙速に施行することには慎重にならざるをえない」として、来年5月の導入時期を延期することも含めて再検討すべきだとしており、次の臨時国会に向けて、各党に議論を呼びかけていくことを決めました。
3) http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/080804_2.htm
愛知県弁護士会 会員アンケ6割超「反対」 ――あなたも裁判員 176人の回答分析、対応に苦慮 来年5月から始まる裁判員制度について、愛知県弁護士会が会員の弁護士を対象に実施したアンケートで、6割以上の回答者が制度に「反対」していることが分かった。裁判の迅速化が、被告側の権利の侵害につながる恐れがあると指摘する声が多い。結果を受けて、会員の間からは「弁護士会として制度見直しを求める声明を出すべきだ」との意見が出ているが、「混乱を招きかねない」との慎重論もあり、弁護士会内でもアンケート結果の取り扱いを巡って議論になっている。
日本弁護士連合会によると、「都道府県弁護士会によるアンケートは、初めての試みではないか」としている。
アンケートは、弁護士会の司法問題対策委員会が、会員の弁護士1171人を対象に、7月末を期限に回答用紙を配布、記名式で実施した。
同委員会によると、先月24日までに176人の回答があったが、賛成が48人(27・3%)にとどまったのに対し、反対は115人(65・3%)。月末までに届いた数十人分の回答を集計中だが、賛否の比率はほぼ同じだという。
裁判員が加わる裁判では必ず実施される「連日開廷」を巡り、不安を訴える回答が多く、具体的には、「十分な審理が期待できず、被告の権利が侵害される」(96人)、「仕事が短期間に集中し、弁護活動が十分に行えない」(79人)などの意見が目立った。反対したうちの約6割が「直ちに廃止すべき」と回答。賛成派でも、約15%が「実施を延期すべき」と答えた。
同委員会は、「日ごろから刑事事件の弁護に取り組んでいる弁護士からの回答が多く、結果は会として重視するのが当然」とし、今後、制度見直しなどを求める声明をまとめ、会として採択するよう求める方針だ。ただ、弁護士会内部には、「制度の実施はすでに決まっており、(反対行動は)会員に不安を抱かせる」「制度の実施を前提とした声明にすべき」との声もある。回答数が少ない点を指摘する意見もあり、会としての対応は流動的という。
(2008年8月4日 読売新聞)
4) blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/ec8c362845565896d68cc852ae3a9542
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto
裁判員制度の実施に対する社民党の見解
社会民主党内閣・法務部会 部会長 近藤正道
1、はじめに
裁判員制度の実施予定(2009年5月21日)が迫り、大きな議論となっている。重大な刑事事件の裁判を、3人の裁判官と一般市民(厳密には衆院議員公職選挙人名簿登録者)から選ばれた6人の裁判員による9人の合議体(自白事件については裁判官1名・裁判員4名も可能)に委ねるという「裁判員制度」は、わが国の司法制度や市民生活に大きな影響を与える可能性があり、その実施に大きな期待と不安が生じている。
社民党は、市民の司法参加を求める立場から一般の市民が裁判官から独立して事実認定を行なう陪審制がのぞましいと主張してきたが、裁判員制度も現状と比較すれば一歩前進ととらえ、裁判員法(「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」)の成立(04年5月)にも賛成してきたところである。
しかし、その制度設計が具体化するにしたがって様々な問題点も浮上している。この際、具体化しつつある裁判員制度に対する問題点を整理し、今後の対応について社民党の考えを明らかにしておきたい。
2、裁判員制度に関する問題点
・市民の理解・支持について
裁判員制度は、不特定多数の市民に裁判員となることを義務付け、刑事司法の在り方を大きく変えるものである。司法への市民参加という視点からは一定の負担はやむを得ない面があるが、実施するにあたっては国民的理解を得ながらすすめる必要があることは当然である。施行を目前に控えた現段階において、なお約8割の市民が参加に消極的(06年12月の内閣府調査では裁判員制度への参加に消極的な意見が78・1%、08年1~2月の最高裁調査で82・4%)という現状は、民主主義の前提を欠き、理解・支持のレベルとして、あまりに不十分といわざるを得ない。市民の支持と十分な理解のないまま、制度施行を強行するべきではない。
・裁判員の負担について
裁判員となる者は自らの意志に関わりなく裁判所に呼び出され、仕事や日常生活を犠牲にして裁判に参加しなくてはならない。拒めば過料(10万円以下)を課される場合があり、任務終了後も刑事罰のついた守秘義務を課される。裁判員裁判が行なわれる地方裁判所は一部を除き、当面本庁のみであり、離島や交通機関が限られた遠隔地の居住者にとっての負担は極めて大きい。しかも、3回程度の連日開廷が原則である。こうした負担に対する不満があるのはむしろ当然である。
問題は、市民に裁判員となる義務や負担を課しながら、それを保障し支える態勢が十分に整備されていないことである。裁判員の職責を果たすための実効ある休暇制度の確立(とりわけ被用者)、相応の休業補償、託児施設や介護施設の準備など、様々な面で(仕事を休み裁判に参加する)態勢の整備が求められる。こうした態勢の整備なしに義務負担だけを押し付けることには問題がある。
・被告人の防御権について
裁判員制度の導入によって被告人の防御権が大きく損なわれる可能性が指摘されている。3回からせいぜい5回程度の集中審理、「迅速、軽負担、平易化」の審理の下で、裁判が拙速となったり、裁判員の日程に配慮した超短期審理のため強引な訴訟指揮が行なわれるおそれが強い。すでに実施されている公判前整理手続(裁判員制度導入をにらみ05年の刑事訴訟法改正で導入)のなかでこうした危惧は現実のものとなっており、裁判員制度の実施にあたっては被告人の防御権をいかに保障するかという視点から注意深い検証が必要である。
現実の裁判では公判の過程で新たな証拠と真実が浮かびあがり、事実の解明に至ることも少なくない。裁判員の日程を優先させれば、追加の主張や立証もほとんど受け付けない、異議も受け付けないという形式的な裁判となり、真実の解明が疎かにされる危険が高いと危惧される。
裁判員制度の導入にあたっては、従来、誤判、冤罪の温床として批判されてきた代用監獄の廃止、取り調べの全過程の可視化、公正な証拠開示のルール化、保釈の原則化と連続開廷審理に臨むことのできる弁護士の体制の整備などが大前提である。然るに、そうした改革と整備は未だ整っていない。被告人の防御権、「公平な裁判」を受ける権利が大きく損なわれる恐れがある。
・守秘義務について
社民党は当初から裁判員に対する罰則つき守秘義務には反対してきた。もちろんプライバシーを保護することは必要だが、裁判官は一般的倫理規定で足りるとされていることと比べても、裁判確定後も裁判員に懲役刑まで含む厳格な守秘義務を課することは行き過ぎといわざるを得ない。開かれた裁判の観点からも裁判が密室化することは好ましくないし、国民の裁判・法的参加を促すという司法制度改革の本来の目的を考えても、裁判の進め方をある程度まで伝えることはむしろ積極的に行なうべきである。プライバシー保護、守秘義務のあり方について十分な理解を求めると同時に、罰則の適用は時期も考慮し、悪質な場合に限定するなど、裁判員が過度に萎縮することが無いような運用を求めたい。
・死刑判決について
裁判員制度の対象は重大な刑事事件(死刑・無期懲役にあたる事件、故意で人を死亡させた事件)とされている。最近の司法における死刑判決の増加に加え、新たに被害者参加制度が導入されることと相まって、裁判員が感情に支配され重罰化がすすむおそれが指摘されている。
そもそも死刑制度はそれ自体が個人の思想信条にも絡む重大問題である。裁判員候補面接の過程で、死刑制度に反対する者を裁判員に選ばないことも、憲法が保障する思想信条の自由に触れるおそれが強いのである。また、市民が死刑判断をわずかな期日で迫られることは重い。
そのようななかで裁判制度を導入するのであれば、「疑わしきは被告人の利益」という刑事司法の大前提を徹底し、とくに死刑の適用については慎重にあたることが求められる。評議で意見が分かれた場合の評決は、「少なくとも1人の裁判官を含む過半数」による多数決で決めることとなってるが、死刑判決に関しては全員一致を条件とするなど特に慎重な運用をはかるべきではないか。人の命を奪うという究極の刑罰を、わずかな票差の多数決で決することは適当とはいえない。
導入当初から、死刑を含む重大な判断を裁判員に迫るという高いハードルを設けることは制度の円滑な定着をはかるうえからも疑問であり、死刑判決の評決について再検討すべきだ。
3、裁判員制度実施に対する考え方
社民党は、裁判員制度の導入自体は、市民の司法参加をすすめるという面から、一定の前進と判断して賛成してきた。しかし、そのためには市民の支持と理解を得ると同時に、裁判員の負担をやわらげるための態勢の整備、被告人の防御権と公平な裁判を受ける権利が侵されないための体制の整備などが大前提であり、こうした条件の整わないままの拙速な制度実施には慎重にならざるを得ない。
裁判員法成立から4年強、実施まで1年を切った現在、被害者参加制度や、事件をいくつかの裁判体で扱う区分審理などの制度変更も行なわれた。裁判員制度の実施が近づくにつれて「参加したくない」との市民の根強い意識を背景に、辞退理由の可否、思想信条を問う裁判員候補面接の内容、評議のあり方その他、様々な点についても多くの問題点が指摘されるようになっている。
こうした中、本当に09年5月から裁判員制度を実施してよいのか、施行の条件は整っているのか、一度立ち止まり、裁判員制度をとりまく現状と問題点を直視し、実施の延期も含め、場合によっては裁判員法等の改正も視野にいれつつ、慎重に再検討すべきではないかと考える。
4、司法制度改革で「市民の司法」を実現
1990年代末以降、司法制度改革をめぐる議論が本格化した背景には、経済のグローバル化、規制緩和の進展にともなうルール作りを求める経済界の要求があったとされている。社民党はこれとは同床異夢ながら、わが国の司法をこれまでの行政主導型の「小さな司法」から社会の隅々まで「法の支配」がゆきわたる「大きな司法」へと転換させ、最高裁を頂点とする「官僚司法」を打ち破り「市民の司法」に転換させるうえで好機ととらえ、司法制度改革を推進する立場をとってきた。
1999年7月から2001年7月までの間、内閣府に設置された司法制度改革審議会の議論や、その後の立法化のプロセスに対しても概ね肯定的に対応してきた。裁判員制度についても市民の健全な常識を裁判に反映することが、冤罪を抑止し被告人の人権を守ることにつながると考え積極的に評価してきたところである。
しかし、司法当局によって具体的な制度設計が進むにつれ、本来の目的が形骸化され弊害が目立ち、一部憲法上の疑念も指摘されている。社民党は、憲法を遵守し、法の精神・法の支配を貫徹し、「市民の司法」を実現するという司法制度改革の本来の立場に立ち、制度の具体化にあたっては問題点を直視し、拙速に陥ることのないよう万全を期す必要があると考える。今後も是々非々の立場から、国会における議論を幅広く緻密に行ないながら、院内外を通じて国民各層とともに司法制度をめぐる論議をすすめていきたい。 以上
裁判員制度の実施に関する社民党の見解 2008年8月7日
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